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町長の部屋
町長のつぶやき2023年度

2024年1月(消えぬ戦火に思う)

ロシアのウクライナ侵攻が長期化するなか、昨年秋には中東パレスチナでも大規模な紛争が勃発しました。連日、多くの一般市民が容赦ない攻撃にさらされ、幼い子どもがなすすべもなく逃げ惑う様子は、正にこの世の地獄のような光景でした。
中国の詩人、杜甫の詩「春望」の冒頭部分「国破れて山河在り 城春にして草木深し」という有名なフレーズは、戦争で国が荒廃してしまったことを嘆き、争いが絶えない人間の愚かさを、悠久の自然と対比させて表現しています。しかし、現在の戦争では、大きなビルでも一撃で破壊されるなど、地形まで変えてしまうような威力を持つ兵器が使用されており、もはや「国破れて山河も無くなる」状況です。
はるか昔から、国家間や民族間で文化や宗教の違いなど、さまざまな理由から戦争は勃発しています。ひとたび戦争になれば、多くの人命が失われることだけは間違いないのですが、どれだけ学問や科学技術が発達し、文化・芸術が成熟しても「戦争」はなくなりません。これはもはや「人間の業」とでも言うべきで、仕方がないと諦めなくてはならないことなのでしょうか。
さて、「春望」の後半部分で杜甫は、混乱した世の中を憂いながらも、何もせずに年老いてしまった我が身を悲嘆して終ります。北方町は非核平和都市宣言をしており、毎年、被爆者講演会や戦争映画上映会など、平和に関する様ざまな取り組みを行っていますが、私は、たとえ小さな町の取り組みであっても、継続することに意義があると考えています。自分たちにもできることはなかったのか、と後悔しないためにも、平和の大切さを訴え続けていきたいと思います。