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町長の部屋
町長のつぶやき2021年度

2022年3月(「カイコ」の生涯)

残念ながら今年も中止となりましたが、北方町で3月のイベントといえば「かいこまつり」です。ところでみなさんは「カイコ」が地球上で唯一、自分の力だけでは生きていけない生き物であることをご存じでしょうか。
カイコは人間が絹を産出するために家畜化した昆虫で、野生には生息していません。桑の葉を食べますが、人間から与えられないと自分で餌を探すこともできません。成虫には羽がありますが、筋肉が弱くて飛ぶこともできません。カイコは自分が生きる術をすべて人間に頼り、身体能力が退化してしまった生き物なのです。
さて、私たちの社会に置き換えて考えてみますと、人は誰しも、一度、面倒な仕事をしなくてもよくなった生活スタイルを元に戻すことはとても難しいものです。もちろん科学・技術が進歩すること自体は素晴らしいことなのですが、今後も様ざまなIT機器やシステム、サービスなどを駆使して「便利」な生活を追求していくのならば、私たちの身体や思想、社会構造などは今後どのように変化していくのでしょうか。漠然とした不安を感じるのは私だけでしょうか。
少々哲学めいた話になりましたが、私は今後世の中がどのように変わっても「人と人とのつながり」だけは大切にしなくてはならないと考えています。近い将来、自宅から一歩も動かずに仕事も遊びも勉強もできるようになるかもしれません。それは確かに「便利」でしょうが、果たして「幸福」なのでしょうか。ただ単純に、面倒なことは他人任せにするのではなく、自分でできることは自分で解決するという考え方を持つことは、人として大切なことだと思うのです。