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町長の部屋
町長のつぶやき2022年度

2022年12月(世代間ギャップ)

昔から、特に職人の世界では、技術は「教えてもらう」ものではなくて「見て盗むもの」だとされています。簡単に教えてもらえるような技術は、しょせん付け焼刃であり、真の技術として身に付けるためには、厳しい修行に耐えて心身ともに修練し、初めて一人前と認められるという考え方です。
ところが最近はそうでもなく、かなり詳しい技術解説がネット動画やマニュアル本などで簡単に手に入るようになりました。今の若い世代の人たちは、昔ながらの「徒弟制度」で、直接的に仕事に関係ない部分まで束縛されることは合理的ではない、と考えるようです。
とある雑誌に、昔ながらの修行を10年間積んだ中堅職人が、手取り足取り技術を教えてもらった3年目の若手職人に、職人技術の競技会で負けていた。だから昔ながらのやり方は今の時代に合わないのだ、という趣旨の記事が載っていました。確かに、単に技術を教えるだけなら「見て盗め」では効率が悪いです。ただし、苦労して身に付けた技術はその分大きな自信となるほか、自分が試行錯誤した過程こそが、職人として生きていくための大きな糧になると思うのです。
「近頃の若者は・・・」という批判は、古代エジプトの時代から既にあったらしいです。ピラミッドの建設に携わった職人が、天井裏などに若者の仕事ぶりに対する愚痴を書き込んでいたという逸話が残っています。技術や仕事を次の世代にどう伝えるのかは、遥か古代から続く課題なのかもしれません。しかし「世代間ギャップ」があるから現在の風潮は仕方がない、と簡単に割り切って考えられないのは私だけでしょうか。