更年期について~更年期を上手に乗り切るために~
更年期とは?
40歳代以降の性ホルモン分泌量の低下が起こる時期を更年期と呼びます。女性は、閉経の前後5年ずつ(一般的には45~55歳頃)で、男性は、40歳代頃(男性ホルモンが低下し始める頃)からです。更年期は、体の変化が起こり、仕事や家庭での役割の変化、環境の変化など外的ストレスを受けやすく、不調が出やすい時期です。
この世代の人だけでなく、周囲の人たちもこの世代に体調不良が出やすい事を理解し、サポートすることが大切です。
更年期障害を知りましょう
更年期の時期に見られる様々な体調不良や情緒不安定などの症状を「更年期症状」と呼び、症状の程度は個人差が大きいと言われていますが、症状によって生活に支障が出る場合を「更年期障害」と呼びます。
1.女性の更年期障害
卵巣機能の低下による症状が主なものですが、性格や体質、環境などによって症状の出方は様々です。症状としては自律神経失調症と同様の症状が現れます。更年期の症状でつら期間は5年ほどと言われていますので、治療によりその5年を乗り切りましょう。
◆血管拡張と放熱に関する症状:ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ
※ホットフラッシュとは、急に顔が熱くなる、汗が止まらなくなる等、上半身のほてり・のぼせ・発汗を伴う症状
◆精神的な症状:気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠など
◆その他の症状:めまい、息切れ、動悸、頭痛、関節痛、疲れや、生理不順など


2.男性の更年期障害
女性とは異なり、男性ホルモンの低下は40歳以降で緩やかに長く続くため、症状が落ちつく期間がはっきりせず、終わりがないことが特徴です。男性の場合は、男性ホルモンの低下による症状を加齢性機能低下症、またはLOH症候群と呼びます。男性ホルモンは、いわゆる筋骨隆々の肉体や性機能だけに働くのではなく、認知機能や血管の健康にも関係するため、様々な症状がおこります。
◆身体症状:関節痛、筋肉痛、疲れ、発汗、頻尿、肥満等
◆精神的な症状:興味や意欲の低下、イライラ、うつ、不眠、記憶力の低下等
◆性機能の症状:ED(勃起障害)、性欲の低下

更年期障害チェックシートを活用しましょう
更年期障害かもしれないと思ったら、男性は、AMSスコア(男性更年期障害質問票)、女性は、SMIスコア(簡略更年期指数)で確認してみましょう。更年期障害である可能性と重症度がわかります。
更年期障害は我慢せずに治療をしましょう
更年期世代で体調不良が続く場合、治療によって症状が改善されることがほとんどです。つらい場合は、がまんをせずに女性なら婦人科、男性は泌尿器科や男性更年期外来等を受診しましょう。
1. 女性の場合
◆ホルモン補充療法(HRT):エストロゲンの減少によって症状が起こるため、エストロゲンを補う治療を行います。薬は飲み薬だけでなく、貼り薬などがあり、その人に応じた治療法を選びます。
◆漢方薬:漢方薬は様々な生薬の組み合わせで作られており、全体的な心と体のバランスの乱れを回復させる働きを持ちます。
◆向精神薬: 気分の落ち込み・意欲低下・イライラ・情緒不安定・不眠等精神症状が最も辛い精神症状の場合、向精神薬も用いられます。
2. 男性の場合
◆男性ホルモン(テストステロン)補充療法: 男性ホルモン(テストステロン)が著しく減少し、症状が起こっている場合は、男性ホルモン(テストステロン)を補う治療を行います。治療に関しては、泌尿器科や男性更年期外来等へご相談ください。
◆漢方薬:血中のテストステロンの低下が少ない場合や症状が軽い場合は漢方薬による治療を行います。治療に関しては、泌尿器科や男性更年期外来等へご相談ください。
◆その他の薬物療法:うつ症状や不安症状が強い場合は向精神病薬、性機能障害ならED治療薬、脳の疲労感が強い場合はビタミンB群といったように、症状に合わせた薬が処方されます。
今からできる更年期を乗り切る生活
更年期は人生後半を健康で生きていくため、日頃の生活を見直す良い機会にもなります。健康的で前向きな日頃の生活にシフトチェンジし、辛いときは治療をしながら、上手に更年期を乗り切りましょう。
□バランスのいい食事をとる
- 料理がしんどい時や食欲のない時は外食や友人との食事を楽しむなど工夫しましょう。
- 腹八分目で肥満を防ぐ。
- 野菜や海藻、豆・大豆製品をたっぷり食べる。
- 魚料理を食べる。
- 塩分控えめにして、減塩商品を活用する。
□適度に運動する
- 自分の体調に合わせて、無理のない範囲で体を動かしましょう。運動不足の人は、ストレッチやラジオ体操、スクワット、立っている時間や歩く時間を今より10分長くする等、できることをやってみましょう。
□睡眠をしっかりとる
- 睡眠の質をあげる為、生活リズムを整えて、疲労をためないようにしましょう。
□ストレスをため込まない
- 過度なストレスを溜め込まないように、深呼吸する、よく寝る、おしゃべりする、美味しい物を食べる等自分なりの発散方法をたくさん見つけ、趣味を充実させるなど、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。
関連情報
◆女性の健康推進室ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)
◆更年期 女性特有の健康課題 働く女性の健康応援サイト(厚生労働省)
https://joseishugyo.mhlw.go.jp/health/menopause.html
◆日本医師会 健康の森/更年期障害
https://www.med.or.jp/forest/check/konenki/01.html
◆更年期障害 公益社団法人 日本産婦人科学
https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14
◆よくある男性の病気 日本メンズヘルス医学会
◆【男性の更年期対策】生活習慣の見直し・漢方・男性ホルモン補充療法 NHK健康チャンネル
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1244.html
(参考)更年期障害チェックシート

更新日:2025年06月13日